Nekoebi’s blog

暇なときに書くもの

スマートウォッチの語られない障壁

Xiaomi Smart Band 7 (バンドは社外品)

2023年の年明け頃、Xiaomi Smart Band 7を購入した。

アナログウォッチで事足りていたが腕にディスプレイをつけたい衝動に駆られ「まあ誕生日近いし...」と己を騙し当時最新のBand 7を選択。腕に巻かれたディスプレイを見てウキウキであった。「本体の保護」というハードルがあまりにも高いことも知らずに...

ここでは主にスマートウォッチのディスプレイ保護について記述する。

要約

1.高価である 2.ベゼル等の側面が曲面形状である 3.サファイアガラス採用でない

以上を全て満たす製品は画面の保護が極めて難しいため、画面に傷がつくことを許せないならば避けるべきである。

但しApple Watch アルミニウムモデルを除く。

 

 

経緯

筆者は「形あるものいずれ崩れる」だとか「傷も味のうち」だとかもっともらしい理由をつけて口では言うが、残念ながら傷を許容するだけの心は持ち合わせていない。ものを買ったらケースなりフィルムなりで今すぐにでも守りたくなる人間である(ガラスフィルム至上主義者でもある)。

当然ながらBand 7もフィルムを貼って傷なく使おうと考えたが、ここで大きな壁にぶつかった。

 

守りたいのに守れない

スマートウォッチのディスプレイの保護はスマホと違い容易ではない。

現在の市場ではApple Watch以外に向けたサードパーティ製品は極めて少ない。Apple Watchならばケースからフィルム、充電器まで多種多様なものが存在する。

これが例えばHUAWEI Watchとなるとフィルム等は多少出てくるが充電器はまともなものがない(HUAWEI WatchはQiに対応しているのでまだマシな方である)。

CITIZEN ATTESA CB0215-51E

Apple Watch Series、HUAWEI Watch GT Proを例に挙げられるサファイアガラス(クリスタル)を使用しているモデルは保護フィルムは不要と言っていいだろう。

筆者は同ガラスが用いられているCITIZEN ATTESAをかれこれ2年ほど愛ゆえの雑さと共に使用してきたが、ガラスには線一本たりとも傷は入っていない。

サファイアガラスでないモデル(HUAWEI Watch GT Cyber)

ところがサファイアガラスを使用していないモデル(すなわち普通のガラス)を採用しているモデルは非常に傷が入りやすい。体感的に言えばぶつける等せず基本的に袖の中に隠すような使い方であっても、服とガラスの間に入った粒子や外して置いた時の擦れ程度で傷ができると考えて良いだろう。すなわち保護フィルムは必須となる。

守れるモデルと守れないモデル

だが全てが全てにまともな保護フィルムが存在するわけではない。市場のモデルを二分化するならば、

・完全にフラットな画面を採用したもの(以下フラットモデル) と、

    (順にApple Watch Ultra, HUAWEI Watch GT3 Pro, Galaxy Watch 6 Classic)

・画面のベゼル等が曲面となっているもの(以下曲面モデル)

 (順にApple Watch Series 9, Pixel Watch 2, Xiaomi Smart Band 8, HUAWEI Watch 4)

の2種に分けられる。

ガラスフィルムを貼ったGT Cyber

フラットモデルの場合ガラスであれ樹脂であれ保護フィルムは多種多様なものが存在する。例えマイナーな機種であってもマーケットで探せば中華業者が販売している。

問題は曲面モデルである。基本的にガラスフィルムなどと言うものは存在しないと言っても過言ではない(但しApple Watchを除く)。憶測だがスマートウォッチに完璧にフィットする3Dのガラスを製造するのは難易度が高く、市場の小ささを考えれば割に合わないのだろう。

では樹脂フィルムはどうかというとこれは選択肢が一部存在する。PDA工房やミヤビックスといった有名どころと、一部中華業者が販売している。

 

樹脂フィルムの落とし穴

「それを貼ればいいじゃないか」と思うがそうは問屋が卸さない。筆者もBand 7のために2つほど(中華製、ELECOM製)試したが、結局のところうまく貼ることができても服がフィルム側面に引っかかることですぐに剥がれる。「袖の中から腕を伸ばし時計を出す」行為と致命的に相性が悪いのである。

これは解決しようのない問題であろう。たとえ引っ掛からずともスマートウォッチは表面積が小さいため、必然的にフィルムの本体への粘着力が弱い。たとえ曲がらないガラスフィルムであっても、それを指でずらすことなぞ容易い程度の粘着である(スマホのカメラにガラスフィルムを貼った時の感覚が一番近いだろうか)。

では画面の保護は完全に無理なのかというとそうではない。いわゆる「塗るガラスフィルム」と呼ばれる、ガラス表面の隙間を埋めることで硬くする硬化剤という手段が存在する。

硬化剤という選択肢

楽天市場】【コーティング歴30年以上の日本企業と共同開発】つねぴか スマホコーティング 日本製 JIS規格最高硬度9H 全面保護 除菌効果 フィルム  大容量5ml(スマホ20台以上に施工可能) : MIDOTHY 楽天市場店

 

筆者は日本製を謳うつねぴかを購入。いわゆる自動車等で用いられるコーティング材をスマホを主として製品化したもので、有名どころだとスマホまもるくん等だろうか。

Band 7に塗布し使用。結論から言えば線傷程度は入るが、未だ明らかなヒビ等は入っていない。つねぴかの有無での比較実験をしていないので適当な事は言えないが、一定の効果はあると考えてよいのではないだろうか。

 

(余談1.全くの根拠はないが、この線傷はつねぴかのコーティングが剥げてできたものではないかという気もする。3年ほど一切のフィルムなしでiPhone 8を使用していた友人がいるが、筆者の貼り付けから数ヶ月経過したスマホのガラスフィルムは光を当てた時多数の線傷が見受けられたのに対し、彼のiPhoneには一切の線傷は見受けられなかった。使用方法に差があるのは承知しているが、線傷はコーティングの剥げに一部由来しているのではないかというのが自論である。Band 7がiPhone 8ほど傷に強いガラスを採用しているとはあまり思えないが。)

(余談2.つねぴかのAmazonでの販売ページを見るとやたら日本製を強調しており不自然である。日本企業とは言いつつ企業名すら明かしていないあたり、根拠もなく旭硝子製を謳う激安ガラスフィルムと同じ類ではないかと思ったが、兵庫県の株式会社みどりまんという会社が販売しているようである。製造元については契約の都合上明かされなかった。)

 

総括

筆者はスマートウォッチもスマホと同様保護フィルムはどんなに有名どころが出していようとも中華業者が普通に使えるものを出している程度にしか考えていなかったが、非常に甘い考えだった。

ただある意味ではBand 7で知れたことは幸運であると言うべきか、Xiaomi Smart BandやHUAWEI Band等はそもそもが安いモデルであるので画面に傷が入ろうとあまり気にならない部類だろう。問題は高価なモデルである。

具体的に最近のモデルで言えば

HUAWEI Watch 4, Buds

Apple Watchのアルミニウムモデル

・Pixel Watch 2

等はサファイアガラスを採用しておらず、かつ曲面モデルである。画面の傷を避けたいならば選ぶべきでないが、Apple Watchに限ってはまともなフィルムが一定数存在するため一考の余地があるだろう。

メーカーには是非とも高価なモデルには一律サファイアガラスを採用して欲しいものである。誰が画面の傷を歓迎しえよう?

 

筆者はスマートウォッチを購入・使用する上でこの題は最も大切といっても過言ではないとすら考えている。多くのYoutuberによる多数のレビュー動画が存在する昨今、なぜあまり語られることがないのか甚だ疑問である。